Notion AI完全ガイド|特徴・料金・使い方・活用事例・最新アップデート【2025年版】

1. Notion AI とは?概要とできること
1-1. そもそも Notion とは?
Notion は、ドキュメント作成、Wiki(ナレッジベース)、プロジェクト管理、Notion カレンダー、Notion フォーム、Web サイト公開など、多岐にわたる機能を一つのワークスペースに統合したツールです。
1-2. Notion AIが搭載された背景
Notion AIは、私たちが日頃から使い慣れているNotionのワークスペース上で、思考をより深め、作業を高速化し、創造性を高めることを目的として開発されたAIアシスタント機能です。Notion AI は、普段の仕事でよく行う、文書を読む、文章を作る、メモを取るといった作業の生産性をより向上させることができます。
例えば、ChatGPT などの他の AI ツールで文章を要約・校正する場合、一度 Notion からテキストをコピーして、ツールに貼り付ける作業が発生します。Notion AI なら、Notion のページ上で直接 AI 機能を呼び出せるため、こうした手間がなくなり、作業がスムーズに進みます。結果として、私たちはより本質的で優先度の高いタスクに集中できるようになります。
ブログ執筆の構成案を Notion AI が作成
1-3. Notion AIで出来る主なこと(生成・要約・Q&A など)
Notion AI は、ユーザーが入力した指示(プロンプト)や、現在開いている Notion ページの内容(コンテキスト)に基づいて、様々なテキスト処理を実行します。具体的には、主に以下のようなことが可能です。
- 新しいコンテンツの生成: ブログ記事の構成案、メールの文章、SNS投稿、プレスリリース、詩、アイデアリストなど、様々な種類のテキストをゼロから生成します。新しい行で
スペース
キーを押すか、/ai
と入力して指示を出すことで利用できます。 - 既存コンテンツの編集・改善: すでに書かれている文章を選択し、「AIに依頼」メニューから、文章のトーン変更(例:より専門的に、より親しみやすく)、スペルや文法の修正、文章の短縮・延長、別の言語への翻訳などを実行できます。
- 要約の作成: 長文のドキュメントや会議の議事録などの内容を、短い要約としてまとめることができます。
/summarize
コマンドや AI ブロックが便利です。 - アクションアイテムの抽出: 会議のメモや議論の記録から、実行すべきタスク(誰が、何を、いつまでに行うか)を特定し、リストアップします。
/action items
コマンドや AI ブロックで実行できます。 - 情報の抽出と整理: 大量のテキストデータ(顧客からのフィードバック、アンケート結果など)から、特定の情報や傾向を抽出したり、表形式で整理したりできます。カスタム AI ブロックで柔軟な指示が可能です。
- Q&A: Notion 内の情報に基づいて、質問に答える機能も進化しています。(※この機能の詳細は後述の章で解説します)
これらの機能は、Notion のページだけでなく、データベース内でプロパティとしても利用できます。例えば、AI プロパティによる自動要約やタグ付けなどが可能です。これにより、日々のワークフローに AI の力をシームレスに組み込めます。
2. 2025年最新アップデートで何が変わったか
Notion は継続的に進化しており、特に AI 関連の機能は目覚ましいスピードでアップデートされています。2024年後半から2025年初頭にかけてリリースされた主な新機能を見ていきましょう。
2-1. AI によってデータベースを作成可能に(Build with AI)
2025年2月の「Notion 2.48↗︎」では、ワンクリックで目的に合った Notion セットアップを AI が構築する機能も登場しています。
- 自然言語でのデータベース構築: 「顧客リストを管理したい」のように AI に指示するだけで、適切なプロパティを持つデータベースを作成できます。
- ワークフロー提案: プロジェクト管理やタスク管理など、目的に応じたデータベース構造や関連ページ、ビューなどを AI が提案・構築してくれます。
データベースの自動作成(Notion 2.48 Set up Notion in one click, Calendar updates, and more より引用)
私が実際にクライアントに Notion を導入する際、この「Build with AI」機能を使うことで、初期セットアップにかかる時間を大幅に削減できています。特に Notion 初心者の方でも、複雑なリレーションやロールアップの設定を AI に任せられるため、導入のハードルが大きく下がったと実感しています。
2-2. AI コネクタの拡充
Notion AI の大きな特徴の一つが、Notion ワークスペース内の情報だけでなく、連携した外部アプリケーションの情報も横断的に検索・活用できる「AI コネクター↗︎」機能です。
- 連携可能なサービス: Google Drive、Slack、GitHub、Jira など、日常的に利用する主要なツールとの連携が可能です。
- 統合された情報検索: Notion 内で「〇〇プロジェクトに関する Slack の議論と Google Drive の資料を要約して」といった指示が可能になり、情報収集の効率が飛躍的に向上します。
これにより、情報がサイロ化する問題を解決しやすくなりました。私自身も、複数のツールに散らばっていたプロジェクト情報を Notion AI で一元的に把握できるようになり、意思決定のスピードが向上しました。今後、Salesforce など、さらに多くのコネクタが追加される予定とのことで、企業全体のナレッジ活用基盤としての Notion の可能性に大いに期待しています(2025年5月現在)
Slack をはじめとしたさまざまなツールと統合(Notion AI コネクター(ベータ版)より引用)
2-3. Notion MCP サーバーのリリース
Notion を MCP サーバーとして利用することができる機能が2025年4月にリリースされました。これにより、例えば Claude などの外部ツールから Notion に対する操作を行わせることが可能になります。
Notion MCP サーバーの詳細記事
Notion MCP サーバーの解説動画
2-4. 新サービスとの連携例:Notion Mail
2025年4月15日にリリースされた「Notion Mail↗︎」は、Notion AI を活用した新しいメールサービスです。
- AI による自動整理: 受信したメールを AI が内容に基づいて自動でラベル付けし、分類します。重要なメールを見逃しにくくなります。
- AI によるドラフト作成: Notion 内のドキュメントやコンテキストを基に、返信メールのドラフトを AI が作成します。定型的な返信やフォローアップメール作成の手間を削減できます。
- Notion カレンダー連携: メール内で
/schedule
コマンドを使うことで、Notion カレンダーと連携し、スムーズな日程調整が可能です。
Notion Mail の実際の画面 スニペットを使用可能
まだ実際に Notion Mail AI 自動ラベル付け機能は試せていないのですが、日々大量のメールを受け取る方にとっては便利そうです。重要なクライアントからのメールや、特定のプロジェクトに関するメールを自動で分類してくれる機能のようです。また、Notion ページの内容を踏まえたメールドラフト作成機能も、文脈に沿った質の高い文章を素早く生成できるため、コミュニケーションの効率化に繋がると感じています。
3. 料金とプラン比較
Notion AI を利用するには、通常の Notion プラン(フリー、プラス、ビジネス、エンタープライズ)に加えて、AI 機能のアドオンを購入する必要があります。ここでは、その料金体系と他の主要 AI ツールとの比較を見ていきましょう。
Notion の料金全般についての補足記事
3-1. Notion AI 無料トライアルの範囲
Notion AI は、ワークスペースの人数に応じて、最大500回までのお試し利用が可能です(2025年5月時点)。メンバー数が少ない場合はおおよそ20回程度の無料枠となります。ワークスペース内のメンバーが Notion AI 機能を試せる回数には上限が設けられています(※回数は変更される可能性があります)。上限に達するまでは、特に申し込みなどしなくても AI 機能を試すことができます。
無料トライアルの回数を超えて Notion AI を継続利用したい場合は、有料のアドオンに加入する必要があります。無料トライアル期間中に様々な機能を試し、自身のワークフローに合うかを確認することをおすすめします。
無料トライアルを使い切ると課金画面が表示される
3-2. Notion AI 有料プラン(アドオン)
Notion AI の有料アドオンは、Notion のプラン(フリー、プラス、ビジネス、エンタープライズ)に追加する形で提供されます。
- 料金: メンバー1人あたり月額 $10 です。年払いの場合は割引が適用され、月額 $8 となります(2025年5月現在)。
- 機能: 有料アドオンに加入すると、無料トライアルのような回数制限なく Notion AI の全機能を利用できます。これには、テキスト生成、要約、翻訳、アクションアイテム抽出、Q&A 機能などが含まれます。
- 支払い: Notion のプラン料金とは別に請求されます。例えば、Notion のプラスプラン(月額 $10)を利用しているユーザーが Notion AI アドオンを追加すると、合計で月額 $20 の支払いとなります。
Notion AI の料金はユーザー単位で発生するため、チームで導入する場合はコストを考慮する必要があります。しかし、日々の定型業務の自動化や情報収集・整理の効率化によって、費用対効果は十分に得られるケースが多いと感じています。まずは無料トライアルで効果を実感し、費用対効果が見込めるか判断するのが良いでしょう。
3-3. 他ツール(ChatGPT / Claude / Gemini)との価格比較
Notion AI の価格設定を、他の主要な大規模言語モデル(LLM)サービスと比較してみましょう(2025年5月現在の一般的な個人向けプラン)。
サービス | 無料プラン | 有料プラン(月額) | 主な特徴 |
---|---|---|---|
Notion AI | △ (回数制限あり) | $10 (年払い $8) | Notion ワークスペース内でシームレスに利用可能。 Notion データ連携が強み |
ChatGPT | 〇 (GPT-3.5) | $20 (Plus) | 高性能な対話 AI、 多様なタスクに対応、 外部連携 (GPTs) が豊富 |
Claude | 〇 (利用制限あり) | 約$20 (Pro) | 長文読解・生成能力が高い、 自然な文章生成に強み |
Gemini | 〇 (Standard) | 約$20 (Advanced ※) | Google サービスとの連携、 マルチモーダル機能 (Advanced)、 最新情報へのアクセス |
※ Gemini Advanced は Google One AI Premium プラン(日本では月額 2,900円)の一部として提供されます。
Notion AIと他AIツールの比較ポイント
- コスト面: 年払いで月額$8と、他サービスと比較して手頃な価格設定。コストパフォーマンスに優れています。
- 利用シーン: Notion内でのシームレスな利用が最大の強み。Notionの情報をコンテキストとして活用できるため、作業効率が向上します。
- 機能面: 汎用的なAI機能ではChatGPT/Claude/Geminiに劣る部分がありますが、Notionとの連携性を重視する場合は最適な選択肢となります。
どの AI ツールを選ぶかは、主な利用目的や既存のワークフローによって異なります。Notion を中心に業務を行っている方、Notion 内の情報を活用して AI を使いたい方にとっては、Notion AI は非常に有力な選択肢です。一方で、より高度な AI 機能や特定のタスク(例:複雑なコーディング支援、専門分野の調査)を求める場合は、他の AI サービスと併用することも有効でしょう。
4. ChatGPT・Gemini・Claudeとの違い
Notion AI は非常に便利なツールですが、ChatGPT、Google Gemini、Anthropic Claude といった他の主要な大規模言語モデル(LLM)とは異なる特徴を持っています。それぞれの違いを理解し、目的に応じて最適なツールを選ぶことが重要です。
4-1. ベースモデルと処理スピード
各 AI サービスは、基盤となる言語モデルや設計思想が異なります。
Notion AI(GPT-4/Claude)
Notion AI は内部的に GPT-4 と Claude が動いています(2025年5月時点での情報)処理速度は Notion のプラットフォーム内で最適化されていますが、他のタスクと同様に、ネットワーク環境やサーバーの負荷によって変動します。Notion ページ内の情報をコンテキストとして利用できるため、連携のスムーズさが特徴です。
ChatGPT(GPT-3.5/GPT-4)
OpenAI 社が開発した GPT シリーズ(GPT-3.5 や GPT-4 など)をベースとしています。幅広いタスクに対応できる汎用性の高さが特徴です。処理速度はプラン(無料版、Plus など)や混雑状況によって変わります。
Gemini(Gemini Pro/Ultra)
Google が開発した Gemini ファミリーのモデル(Gemini Pro, Gemini Ultra など)を使用しています。Google 検索との連携やリアルタイム情報へのアクセス、マルチモーダル機能に強みがあります。速度はモデルやバージョンによって異なります。
Claude(Claude 3)
Anthropic 社が開発した Claude シリーズのモデルが基盤です。特に長文の読解や生成、より自然で安全性を考慮した対話に優れていると評価されています。処理速度は利用状況に応じて変動します。
AI の応答速度は、モデルの複雑さ、サーバーの状況、入力するテキストの量など多くの要因に影響されるため、一概にどのサービスが最も速いとは言えません。
4-2. プライバシー保護/データ保持の比較
AI ツールを利用する上で、入力したデータのプライバシー保護は非常に重要です。特にビジネスで利用する場合は、各社のポリシーを十分に確認する必要があります。
Notion AI(学習データ不使用)
Notion は、ユーザーが Notion AI に入力したデータを、第三者のモデル学習には使用しないと明言しています(2025年5月現在)。データは Notion の既存のセキュリティ基準に基づいて保護されます。詳細なポリシーは Notion の Trust Center で確認することをおすすめします。
ChatGPT(オプトアウト可能)
ユーザーデータは、モデル改善のために利用される可能性がありますが、オプトアウト可能です。API 経由での利用は、デフォルトで学習には利用されません。
Gemini(オプトアウト可能)
Google アカウントを通じて利用され、Google のプライバシーポリシーが適用されます。ビジネス向けの Google Workspace エディションでは、管理者による制御やデータ保護機能が強化されています。個人利用の場合、データがモデル改善に利用される設定(通常はオプトアウト可能)があります。
Claude(明示的なオプトインしない限り学習データ不使用)
Anthropic は、安全で倫理的な AI 開発を重視しており、プライバシー保護にも配慮しています。一般ユーザー(Free/Pro) & API ともに、ユーザー明示のフィードバック/オプトインを除き学習不使用。API/Enterprise は入出力を30 日以内に削除(ゼロ保持オプション有)。
いずれのサービスも、特に機密情報や個人情報を扱う際は、利用前に必ず最新のプライバシーポリシーと利用規約を確認し、必要に応じて組織のセキュリティ担当者と相談することが不可欠です。
4-3. 得意分野・不得意分野と使い分け
それぞれの AI ツールは、得意なことや最適な利用シーンが異なります。
Notion AI(Notion内データ処理・自動化)
Notion ページの内容に基づいた要約、翻訳、アクションアイテム抽出、文章のトーン変更、アイデア出しなどが得意。Notion データベースとの連携(AI プロパティ)も可能。Notion 外の情報参照は制限あり(コネクタ機能で一部可能)。複雑なプログラミングや専門分野の高度な分析は不得意。会議メモの整理、ドキュメントの下書き、Notion 内データの自動処理に最適。
ChatGPT(多機能な対話・文章生成)
対話形式でのブレインストーミング、多様なテキスト生成(ブログ記事、メール、コード)、質疑応答、文章の校正・改善が得意。豊富な GPTs による機能拡張が可能。最新情報の取得にはブラウジング機能が必要。長大なドキュメントの一貫した処理に制限あり。幅広い用途での文章作成支援、アイデアの壁打ち、コーディング補助、一般的な情報検索に適している。
Gemini(最新情報・Google連携)
最新情報に基づいた回答、Google サービス(検索、Workspace)との連携、マルチモーダル機能(画像認識など、Advanced プラン)、データ分析が得意。一部の創造的な文章生成タスクは他のモデルに比べて不得意。最新情報を踏まえたリサーチ、Google ドキュメントやスプレッドシートと連携した作業、画像の情報を利用したタスクに最適。
Claude(長文処理・安全性重視)
長文の読解・要約、レポート作成、複雑な指示の理解、自然で丁寧な文章生成、安全性の高い応答が得意。リアルタイム情報の取得は機能による制限あり。一部のニッチな専門知識は不得意。長いドキュメントや PDF の内容把握、詳細なレポート作成、契約書ドラフトのレビュー補助、安全性が重視されるコンテンツ生成に適している。
どの AI を使うべきかは、まさに「適材適所」です。Notion を業務の中心に据えている方なら、Notion AI は日々の作業を驚くほど効率化してくれるでしょう。一方で、Web から最新情報を集めたいなら Gemini、長文のレポートを要約したいなら Claude、多機能なチャットボットとして使いたいなら ChatGPT が便利かもしれません。私自身、用途に応じてこれらのツールを使い分けています。まずはそれぞれの無料プランやトライアルで試してみて、ご自身の使い方に合うものを見つけるのが良いと思います。
5. 基本的な使い方の手順
Notion AI は、特別な準備なしに直感的に使い始めることができます。ここでは、基本的な有効化の手順から、ページやデータベースでの具体的な AI 機能の使い方までをハンズオン形式で解説します。
5-1. 有効化手順と初期設定
Notion AI を使い始めるのに、複雑な設定は不要です。
STEP 1. Notion ページを開く
まずは、普段お使いの Notion ワークスペースで任意のページを開きます。
STEP 2. AI 機能を呼び出す
新しい行で スペース
キーを押すか、/ai
と入力すると、AI への指示(プロンプト)を入力するボックスが表示されます。または、既存のテキストを選択すると表示されるメニューから「AI に依頼」をクリックします。
STEP 3. 無料トライアルを開始
初めて AI 機能を使う場合、自動的に無料トライアルが開始されます(回数制限あり)。特別な申し込みは不要です。
STEP 4. (任意) 有料アドオンへの加入
無料トライアルの回数上限に達した後も継続して利用したい場合は、Notion のプラン設定から Notion AI アドオン(月額 $10、年払い $8)を追加購入します。「設定」メニューの「アップグレード」または「プラン」セクションから手続きできます。
Notion AI の課金画面
特に難しい初期設定はありません。無料トライアルですぐに試せるので、まずは気軽に AI 機能に触れてみることをお勧めします。有料プランへの移行もスムーズに行えます。
5-2. ページ内での生成/編集/翻訳
Notion ページ内で AI を活用する基本的な方法を見ていきましょう。
1. 新しいコンテンツの生成
- 方法: 新しい行で
スペース
キーを押すか/ai
と入力し、続けて指示(例:「ブログ記事のアイデアを5つリストアップして」「新製品発表会の案内メールの下書きを作成して」)を入力します。 - 例: アイデア出し、文章作成、リスト作成、表作成など、様々なテキストコンテンツをゼロから生成できます。
Notion AI で新しいコンテンツの生成
2. 既存コンテンツの編集・改善
- 方法: 改善したいテキストを選択し、表示されるメニューから「AI に依頼」を選びます。その後、「文章を改善する」「短くする」「長くする」「トーンを変更する」(例:フォーマルに、フレンドリーに)などのオプションを選択するか、自由な指示を入力します。
- 例: 文章の校正、要約、表現の変更、アクションアイテムの抽出(後述)などが可能です。
Notion AI に文章を長くしてもらう
3. 翻訳
- 方法: 翻訳したい画面上部の「翻訳言語」を選択するか、もしくは「AI に依頼」>「翻訳」を選び、翻訳先の言語を選択します。
- 例: 英語の資料を日本語に、日本語のメールを英語にするなど、多言語対応が必要な場面で便利です。
Notion AI 英語メールを日本語に翻訳する例
私が特によく使うのは、議事録からの「アクションアイテム抽出」と、長文コンテンツの「要約」機能です。情報整理の時間を大幅に短縮でき、非常に重宝しています。生成 AI としての精度も高く、ブログの構成案作成などでも活躍します。
5-3. データベースでのAI活用(プロパティ自動入力 等)
Notion AI は、データベースのプロパティとしても利用でき、情報の整理や入力を自動化できます。
STEP 1. AI プロパティの追加
データベースを開き、プロパティ列の右端にある +
ボタンをクリックし、「AI カスタム自動入力」を選択します。
STEP 2. AI への指示を設定
新しく追加された AI プロパティの列ヘッダーをクリックし、「AI プロパティを編集」を選択します。
- 自動入力: この AI プロパティで実行したいタスクを指示します(例:「ページの内容を要約して」「ページ内の重要なキーワードを3つ抽出して」「ステータスプロパティに基づいてタスクの優先度を判定して」)。
- 入力として使用するプロパティ: AI が処理の参考にするプロパティを選択します(通常はページの内容全体か、特定のテキストプロパティ)。
STEP 3. 自動実行
設定後、データベースの各行(ページ)で、指定したプロパティの内容に基づいて AI が自動的に処理を実行し、結果を AI プロパティに格納します。既存のページで再実行したい場合は、AI プロパティのセルにある更新ボタン(矢印アイコン)をクリックします。
活用例:
- 自動要約: 各ページの「内容」プロパティを基に、「AI 要約」プロパティを自動生成。
- 自動タグ付け: 議事録の内容から関連キーワードを抽出し、「AI タグ」プロパティに自動入力。
- 自動翻訳: 「日本語メモ」プロパティの内容を「英語メモ(AI)」プロパティに自動翻訳。
- ネクストアクション提案: プロジェクトの進捗状況に基づいて、次に行うべきアクションを AI が提案。
議事録内容を Notion AI に要約してもらう
データベースでの AI 活用は、大量の情報を扱う際に真価を発揮します。例えば、顧客からのフィードバックをデータベースで管理している場合、AI プロパティを使って自動で感情分析を行ったり、カテゴリ分類したりすることが可能です。手作業での入力や整理の手間を大幅に削減できます。
5-4. ワークスペース内の情報を検索する(Q&A)
Notion AI の Q&A 機能を使うと、ワークスペース全体から必要な情報を自然言語で検索し、回答を得ることができます。
- アクセス方法: Notion ウィンドウの右下にあるアイコン(Ask AI) をクリックするか、
Cmd/Ctrl + Shift + K/P
のショートカットキーで Q&A ウィンドウを開きます。 - 使い方: 開いたウィンドウに、質問を自然言語で入力します(例:「〇〇プロジェクトの最新の進捗状況は?」「来週のマーケティング会議の日程を教えて」「△△に関する資料はどこにある?」)。
- 機能:
- ワークスペース内のページ、データベース、コメントなどを横断的に検索します。
- 質問内容に関連性の高いページを複数提示し、それぞれの内容に基づいた要約を生成して回答します。
- 回答の根拠となったページへのリンクが表示されるため、詳細を確認することも容易です。
- AI コネクターを設定していれば、連携した Slack や Google Drive などの外部情報も検索対象に含めることができます。
どの画面からでもショートカットキーでQ&Aを呼び出し可能
Q&A 機能は、情報がワークスペース内のどこにあるか正確に覚えていなくても、必要な情報に素早くアクセスできる強力な機能です。情報が整理されているほど精度が向上するため、日頃から Notion 内の情報を適切に構造化しておくことの重要性を改めて感じます。チームでの情報共有にも役立ちます。
5-5. ショートカット一覧
Notion AI の機能を素早く呼び出すための主なショートカットです。下記のコマンドやショートカットを使いこなすことで、Notion AI をよりスムーズに、効率的に活用できます。
スペース
(新しい行で): AI への指示を開始Cmd/Ctrl + J
: 選択したテキストに対して AI 機能を呼び出す / 新しい行で AI への指示を開始Cmd/Ctrl + Shift + J
: Q&A ウィンドウを開くEsc
: AI メニューや AI ブロックを閉じる
6. 活用事例&プロンプトテンプレート集
Notion AI の真価は、具体的な業務に組み込むことで発揮されます。ここでは、私が日々のコンサルティング業務やコンテンツ作成で実際に活用している事例と、そのまま使えるプロンプトのテンプレートをご紹介します。
6-1. ブログ記事構成&本文生成
新しいブログ記事のテーマが決まった後、構成案の作成や本文のドラフト作成を Notion AI に手伝ってもらうことで、執筆プロセスを大幅にスピードアップできます。
ブログ記事構成案 作成プロンプト
## 指示
「[記事のテーマ、例:Notion を活用したタスク管理術]」についてのブログ記事の構成案を作成してください。
## 条件
- ターゲット読者: [ターゲット読者層、例:Notion 初心者、中小企業のチームリーダー]
- 記事の目的: [目的、例:読者が Notion で基本的な[タスク管理](/blog/2022-03-20-notion-gtd)を始められるようにする]
- 含めるべき重要な要素・キーワード: [キーワード1、キーワード2、例:「データベース」「ビュー」「リマインダー」]
- 想定される読者の疑問・悩み: [読者が抱えていそうな疑問、例:どの機能を使えばいいかわからない、設定が難しそう]
- 構成の粒度: 大見出し、中見出しレベルまで
- トーン: [トーン、例:丁寧で分かりやすい、専門的だが実践的]
## 出力形式
マークダウン形式の見出しリスト
ブログ本文 執筆プロンプト(構成案がある場合)
## 指示
以下のブログ記事構成案の「[執筆したいセクション名]」部分について、本文を作成してください。
## 条件
- 文字数: 約 [文字数] 字
- ターゲット読者: [ターゲット読者層]
- 文体: ですます調
- 含めるべき情報: [そのセクションで伝えたい主要な情報やキーワード]
- 避けるべきこと: [例:専門用語の多用、他のセクションとの重複]
## 参考情報(構成案)
[ここに構成案を貼り付ける]
## 出力形式
本文テキスト
Notion AI は、記事の骨子作成や、特定の部分の文章化において非常に強力なアシスタントです。特に「何から書けばいいか分からない」という最初のハードルを越えるのに役立ちます。ただし、AI が生成した内容はあくまで下書きです。必ずご自身の経験や専門知識(EEAT の Experience と Expertise)に基づいた加筆修正、独自の見解、具体的な事例の追加を行い、読者にとって本当に価値のある、オリジナリティの高いコンテンツに仕上げることが重要です。最終的な品質担保は書き手自身が行う必要があります。
6-2. 会議議事録 → 要約 → タスク抽出
長時間の会議の後、議事録を素早く要約し、決定事項や担当タスク(アクションアイテム)を明確にすることで、情報の共有と次のアクションへの移行をスムーズにします。
会議議事録 要約プロンプト
## 指示
以下の会議議事録を要約してください。
## 条件
- 要約の目的: [目的、例:会議に参加できなかったメンバーへの共有、主要な決定事項の確認]
- 文字数: 約 [文字数、例:300] 字
- 含めるべき要素: 主要な議題、決定事項、重要な議論のポイント
- 省略してよい要素: [例:挨拶、詳細な議論の過程]
## 会議議事録
[ここに議事録テキストを貼り付ける]
## 出力形式
箇条書き、または本文形式の要約
アクションアイテム抽出プロンプト
## 指示
以下の会議議事録から、アクションアイテム(担当者が明確なタスク)を抽出してください。
## 条件
- 抽出する項目: 担当者名、具体的なタスク内容、期限(もしあれば)
- 不明瞭な点は「要確認」としてリストアップ
## 会議議事録
[ここに議事録テキストを貼り付ける]
## 出力形式
- [担当者名]: [タスク内容] ([期限 or 要確認])
議事録のテキストを選択し、AI メニューから「要約する」や「アクションアイテムを抽出」を選択する方が、より手軽な場合もあります。
6-3. 仕様書/PRD の下書き
新しい製品や機能のアイデアを具体的な仕様書や製品要求仕様書 (PRD: Product Requirements Document) に落とし込む際の、最初のたたき台作成を AI に支援してもらいます。
仕様書/PRD 下書き作成プロンプト
## 指示
[製品/機能名、例:新しい顧客管理機能] の製品要求仕様書(PRD)の基本的な構成要素を含む下書きを作成してください。
## 条件
- 目的: [製品/機能の目的、例:営業チームの顧客管理効率を向上させる]
- ターゲットユーザー: [ターゲットユーザー、例:中小企業の営業担当者]
- 主要な機能要件:
- [機能1、例:顧客情報の登録・編集機能]
- [機能2、例:商談履歴の記録機能]
- [機能3、例:担当者別タスク管理機能]
- 非機能要件(考慮点): [例:シンプルな UI、モバイル対応、既存データとの連携]
- 含めるべきセクション: 背景、目的、ターゲットユーザー、機能要件、非機能要件、将来的な展望(仮)
## 出力形式
マークダウン形式のドキュメント
私自身、Web エンジニアや CTO としてプロダクト開発に携わってきた経験から、仕様書作成の難しさはよく理解しています。特にゼロから書き始めるのは大変ですが、Notion AI に基本的な構成や項目を提案してもらうことで、思考を整理し、スムーズに書き進めることができます。もちろん、AI が生成したものはあくまで「下書き」です。実際の開発に必要な詳細な要件定義、ユーザーシナリオの検討、技術的な実現可能性の評価などは、プロダクトマネージャーやエンジニアが責任を持って行う必要があります。AI を壁打ち相手として活用するイメージです。
6-4. カスタマーサポート メール返信ドラフト
頻繁に寄せられる顧客からの問い合わせに対して、回答の骨子となるメールのドラフトを AI に作成してもらい、サポート担当者の負担軽減と回答品質の標準化を図ります。
カスタマーサポート メール返信ドラフト作成プロンプト
## 指示
以下の顧客からの問い合わせに対して、返信メールの下書きを作成してください。
## 条件
- 顧客からの問い合わせ内容:
[ここに顧客からの問い合わせメール本文を貼り付ける]
- 宛名: [顧客名] 様
- 差出人: [自社名/担当者名]
- トーン: [トーン、例:丁寧、共感的、プロフェッショナル]
- 盛り込むべき内容:
- 問い合わせへの感謝
- 問い合わせ内容 ([問題点]) の確認と共感
- 解決策/回答/次のステップ: [具体的な解決策や案内]
- 必要であれば追加情報を依頼する文言
- 結びの言葉
- 注意点: [例:専門用語を避ける、具体的な操作手順を入れる]
## 出力形式
メール本文
カスタマーサポート業務において、迅速かつ丁寧な対応は顧客満足度に直結します。Notion AI を使って返信ドラフトを作成することで、担当者はゼロから文章を考える手間を省き、より個別具体的な対応や問題解決に集中できます。Notion Mail のようなツールと連携すれば、さらに効率化が期待できるでしょう。ただし、AI が生成した定型文をそのまま送るのではなく、必ず顧客の状況に合わせてパーソナライズし、人間の温かみが感じられるように加筆修正することが重要です。特にクレーム対応など、感情的な配慮が必要な場合は、AI のドラフトを参考にしつつも、経験豊富な担当者が慎重に対応すべきです。
7. 注意点 & FAQ
Notion AI は非常に強力なツールですが、最大限に活用し、安全に利用するためには、いくつかの注意点と特性を理解しておく必要があります。
7-1. セキュリティと社内導入チェックリスト
Notion AI を業務で利用する際、特にチームや組織で導入する場合は、セキュリティへの配慮が不可欠です。
- データプライバシー: Notion はユーザーが Notion AI に入力したデータを第三者のモデル学習には使用しないと明記しています。データは Notion の標準的なセキュリティ対策の下で管理されます。最新かつ詳細な情報は、必ず Notion セキュリティとプライバシー↗︎ ページでご確認ください。
- 入力する情報への注意: 機密情報(個人情報、顧客の非公開情報、社外秘の戦略情報など)を Notion AI に入力することは、Notion のポリシーに関わらず、組織のセキュリティ規定やコンプライアンス要件に照らして慎重に判断する必要があります。安易に機密情報をプロンプトに含めないようにしましょう。
- 社内ガイドラインの策定: チームや組織で Notion AI を導入する場合、どのような情報を入力して良いか、どのような用途での利用を推奨・禁止するかなど、明確なガイドラインを定めて周知することが重要です。
私自身、多くの企業様の Notion 導入を支援する中で、AI 機能の利用に関するガイドライン策定の重要性を感じています。特に「どの情報を AI に入れても安全か」という判断基準は、組織として明確にしておくべきです。Notion のセキュリティ体制を確認した上で、自社の情報セキュリティポリシーと照らし合わせることが第一歩となります。
社内導入時の簡易チェックリスト
- Notion の最新のセキュリティ情報(Trust Center)↗︎を確認しましたか?
- 自社の情報セキュリティポリシーや個人情報保護規定を確認しましたか?
- Notion AI に入力して良い情報/いけない情報の基準を明確にしましたか?
- 従業員向けに Notion AI の利用ガイドラインを作成し、周知しましたか?
- (必要であれば) 機密情報を扱うワークスペースのアクセス権限は適切に設定されていますか?
7-2. 日本語・英語品質差とプロンプト設計
大規模言語モデルは、一般的に学習データの量が多い英語の方が、日本語よりも高い精度を発揮する傾向があります。Notion AI も例外ではありません。
- 言語による品質差: シンプルなタスク(要約、翻訳など)では日本語でも十分な品質が得られますが、より複雑でニュアンスが求められるタスク(高度な分析、創造的な文章生成など)では、英語でプロンプトを入力した方が意図に近い結果を得やすい場合があります。
- プロンプトの重要性: 期待通りの出力を得るためには、AI への指示(プロンプト)の設計が非常に重要です。これは日本語・英語共通のポイントです。
- 具体的に指示する: 何をしてほしいのか、どのような形式(箇条書き、表、メール形式など)、長さ、トーンで出力してほしいのかを明確に伝えます。
- 文脈(コンテキスト)を提供する: AI が参照すべき情報(元のテキスト、背景知識、目的など)をプロンプトに含めるか、Notion ページ上に記述しておきます。
- 役割を与える: 「あなたは経験豊富なマーケターです」「あなたは親切なカスタマーサポート担当者です」のように役割を指定すると、トーンや視点が安定しやすくなります。
- 構造化する: Section 6 のテンプレートのように、「## 指示」「## 条件」「## 参考情報」「## 出力形式」といった見出しで区切ると、AI が指示を理解しやすくなります。
- 試行錯誤する: 最初から完璧な出力が得られるとは限りません。出力結果を見ながらプロンプトを修正し、何度か試すことが精度向上に繋がります。
- タスクを分割する: 複雑な要求は、一度に指示するのではなく、複数のステップに分けて AI に依頼する方が効果的な場合があります。
日本語で期待通りの結果が得られない場合、一度英語で試してみるのも有効な手段です。翻訳ツールを併用すれば、それほど手間ではありません。また、良いプロンプトを作ることは、AI との対話スキルそのものです。上手な指示の出し方を研究し、自分なりのテンプレートを蓄積していくことをお勧めします。
7-3. 画像生成やコード生成の制限
Notion AI は主にテキストベースの処理を得意としており、一部の機能には制限があります。
- 画像生成: Notion AI には、テキストから画像を生成する機能はありません(2025年5月現在)。Midjourney や Stable Diffusion、あるいは ChatGPT や Gemini の一部プランで提供されるような画像生成 AI とは異なります。
- コード生成:
- Notion AI は、簡単なコードスニペットの生成、コードの説明、言語間の翻訳などを支援することは可能です。例えば、「Python で配列をソートするコードを書いて」「この JavaScript の関数は何をしているか説明して」といった指示には対応できる場合があります。
- しかし、GitHub Copilot のような本格的なコーディング支援ツールではありません。複雑なアルゴリズムの実装、大規模なプログラムの生成、デバッグなどには限界があります。
- AI が生成したコードは、必ずしも正確であるとは限りません。必ず人間がレビューし、テストを行ってから使用してください。
Notion AI はあくまでテキスト処理を中心としたアシスタントと捉えるのが良いでしょう。コード生成支援機能は「ちょっとした補助」程度に考え、生成されたコードを鵜呑みにせず、必ず内容を理解し、検証することが重要です。私自身、エンジニアリングのバックグラウンドがありますが、AI が生成したコードをそのまま使うことはありません。あくまで参考やヒントとして活用しています。