【2025年】Notion AI最新検索機能アプデ|エンタープライズサーチとリサーチモード徹底解説

Notion の最新アップデートで追加された2つの注目 AI 機能、「エンタープライズサーチ」と「リサーチモード」について詳しく解説します。これらは2025年5月に発表されたビジネス向け AI 機能群「Notion AI for Work」↗︎の中核をなすもので、情報検索や調査業務を圧倒的に効率化することが期待されています。
これらの機能を使えば、社内に散在する膨大なデータから必要な答えを瞬時に見つけ出したり、専門的なリサーチレポートを AI が自動で生成したりすることが可能になります。
この記事でわかること
- Notion の新 AI 機能「エンタープライズサーチ」の概要、使い方、メリット、ユースケース
- Notion の新 AI 機能「リサーチモード」の概要、使い方、メリット、ユースケース
- 「エンタープライズサーチ」と「リサーチモード」の効果的な使い分け
1. エンタープライズサーチ機能の解説
まずは、社内情報を横断的に検索できる機能「エンタープライズサーチ」から解説します。
1-1. エンタープライズサーチとは?
まず、エンタープライズサーチは、一言でいうと「社内版 Google」のようなものです。Notion のワークスペース内の情報はもちろん、Slack や Google ドライブ、GitHub、Jira、Microsoft Teams など、社内で日常的に使われている複数のツールを横断して検索できる統合検索機能です。従来は各ツールを個別に開いて情報を探す必要がありましたが、エンタープライズサーチを使えば、一度の検索で必要な答えに辿り着けます。
アプリの接続は設定画面内から可能(AI コネクト)
例えば、「先月のプロジェクトX の進捗レポートはどこ?」といった質問を投げかけるだけで、Notion 上のドキュメントだけでなく、連携している Google ドライブ上のファイルや Slack での関連するやり取りまで AI がまとめて検索し、関連性の高い回答を提示してくれます。
エンタープライズサーチを実行
1-2. 主な特徴とメリット
エンタープライズサーチがもたらす主なメリットは以下の通りです。
メリット1:情報収集の時間短縮
- 複数のツールを行き来する手間が省け、検索の一元化により業務効率が大幅に向上
- 社内のナレッジを横断的に検索できるため、知りたい答えを得るまでの時間が劇的に短縮
- 不明点の確認や過去資料の探索に費やす時間を削減
メリット2:的確な回答と信頼性
- Notion AIが質問の意図を理解し、関連情報を集約して的確な回答を提示
- 回答には引用元が明記され、情報の裏付けが明確
- 最新かつ正確な情報に基づいた信頼性の高い回答を提供
メリット3:ナレッジの有効活用
- 社内の暗黙知や過去の議事録など、埋もれていた情報を引き出し可能
- 組織内の知見を掘り起こし、活用の幅を拡大
- 新入社員のオンボーディング時間を数日~数週間短縮する事例も報告
私自身、多くのクライアント企業で Notion 導入を支援してきましたが、情報がサイロ化しているケースは少なくありません。エンタープライズサーチは、こうした課題を解決し、組織全体の情報活用度を高める強力な一手になると感じています。
1-3. 使い方と AI コネクター
使い方も非常にシンプルです。Notion のホーム画面上部に新設された検索バーから、直接質問を入力するだけで利用できます。ホーム画面から「検索」や「リサーチ」といった AI 機能にアクセスしやすくなるよう UI が刷新されており、まさにワークスペースの中心で AI 検索が使える設計になっています。
自社 Notion にてエンタープライズサーチで「請求書」と検索した結果
質問を入力すると、Notion AI が社内のナレッジ全体をインデックスし、検索を実行します。この際、あらかじめ連携させた外部ツール(Slack や Google Drive など)のデータや、Notion 内のデータベース、アップロード済みの PDF ファイルの内容まで網羅的に検索対象となります。
アプリの接続は設定画面内から可能(AI コネクト)
検索結果は、AI が文脈を理解した上で数秒で回答として返ってきます。さらに、回答には元になった情報の出典(リンク)が明記されており、ユーザーが選択した信頼できる情報源のみを参照するため安心です。
エンタープライズサーチを最大限に活用するには、まず Notion と外部ツールを「AI コネクター」で連携させておく必要があります。対応サービスは2025年5月時点で5種類(Slack、Microsoft、GitHub、Jira、Google Workspace)で、今後 Linear、Gmail、Zendesk、Box、Salesforce などにも拡大予定です。これらの設定を行うことで、複数のプラットフォームに散在する情報も一括で見逃さずに検索できるようになります。
1-4. 具体的なユースケースの紹介
例1: 社内 FAQ の充実・迅速な回答
社内のよくある質問(人事制度や IT トラブル対応など)に対して、エンタープライズサーチで即座に回答できます。従業員が疑問を感じた際にまず Notion で質問すれば、関連する社内 Wiki や過去の Slack での回答を基に AI が答えてくれるため、ヘルプデスクへの問い合わせ件数削減にも繋がります。
例2: プロジェクトの情報追跡
複数のツールを跨いでやり取りが行われているプロジェクトでも、エンタープライズサーチなら一括で状況をモニタリングできます。例えば「プロジェクトX の最新の課題は?」と尋ねれば、Jira のチケット、GitHub のプルリクエスト、Slack での議論内容などから関連事項を抽出し、現在の課題点を明確に示してくれます。プロジェクトマネージャーは各ツールを個別に確認する手間なく、Notion 上で全体の進捗を把握できるようになります。
例3: ナレッジ共有・オンボーディング
新しくチームに加わったメンバーが過去のプロジェクト経緯や業務ノウハウを知りたい場合も、関連ドキュメントやメールを横断検索することでスムーズにキャッチアップできます。前述の通りオンボーディング期間の短縮に寄与するだけでなく、属人化しがちなナレッジを組織全体で共有する文化づくりにも役立ちます。
こうしたメリットとユースケースから、エンタープライズサーチは日常業務の「調べる」作業を革新するツールであることが分かります。必要な情報に一度の検索で辿り着けることで、生産性向上に直結する機能と言えるでしょう。
2. リサーチモード徹底解説
次に、より踏み込んだ調査・分析に特化した「リサーチモード」について見ていきましょう。
2-1. リサーチモードとは?
エンタープライズサーチが「素早い Q&A」に優れているのに対し、リサーチモードはより複雑な調査や分析に特化した機能です。一言で表現すると、「専属のリサーチアナリストがチームに加わった」ようなものです。Notion AI がユーザーの質問を受けて段階的な調査プロセスを実行し、社内外のあらゆる情報源から関連情報を掘り起こして、包括的なレポートとしてまとめてくれます。
リサーチモードを実行しているようす(Web 検索オンの状態)
2-2. 主な特徴とメリット
リサーチモードの主なメリットは以下の通りです。
メリット1: 時短効果
リサーチモードの最大の強みは、本格的な市場調査や競合分析を数分で自動完了できる点です。AIが何十もの記事やドキュメントを読み込んで要点をまとめてくれるため、担当者が数日分のリサーチ作業に費やしていた時間を大幅に節約できます。その時間を、人間はより創造的なプランニングや意思決定に充てられるようになります。
メリット2: 高い品質のアウトプット
リサーチモードのアウトプットは、簡潔でありながら網羅的です。単に情報を列挙するのではなく、AIが内容を咀嚼して論点ごとに整理してくれるため、複雑なトピックでも全体像を把握しやすい形で提供されます。網羅性と分かりやすさを両立したレポートが即座に得られるのは、人間には真似しづらい高度な処理です。
メリット3: 情報収集範囲を制御できる
リサーチモード最大の特徴の一つが、インターネット上の公開情報まで検索対象を広げられる点です。社内のワークスペースや連携アプリ内のデータに加え、必要に応じてWeb上の信頼できる情報源もクロールし、最新のトレンドや統計データを取り込みながら回答を深めてくれます。例えば、社内には存在しない市場データや最新ニュースも自動で収集・分析してくれるため、社内知識と外部知見を組み合わせた、より充実したリサーチが可能になります。
メリット4: そのまま Notion に保存できる
生成されたレポートは、そのまま社内ドキュメントとしてNotionページに保存・共有できるため、チーム内で迅速に知見を展開できます。書式も整っているので、上司への報告資料やクライアント向けの提案書のたたき台として転用することも容易です。調査プロセスが自動化されることで、より迅速な意思決定サイクルを回せるようになります。
リサーチモードは、特に戦略的な意思決定が求められる場面で強力な武器になります。これまで時間やリソースの制約で深掘りできなかった調査も、AI の力を借りることで実現可能になるでしょう。「知りたいことを、知りたい深さで」探求できる機能です。
2-3. 具体的な使い方
それでは、リサーチモードの使い方をステップバイステップ形式で具体的に説明します。エンタープライズサーチと同様に、Notion ホーム画面の検索バーから利用できますが、調べたいテーマや質問を入力する際に「リサーチモードで実行」する形になります。
STEP 1. ホーム画面でリサーチを開始
Notion のホーム画面にある検索バー(または専用の「リサーチ」ボタン)に、調査したいテーマや質問を入力します。「〇〇について詳しく調べてレポートを作成して」といった自然な言葉で依頼すれば OK です。
質問を入力する
STEP 2. Web 検索のオン/オフ選択
必要に応じて、インターネット検索を含めるか除外するかを選択できます。デフォルトでは Web も検索する設定になっており、右下の地球儀アイコン(青色のアイコン)でトグル操作します。社内データだけで十分な場合はオフに、外部情報も欲しい場合はオンのままにしましょう。
Web 検索機能をオンにする
STEP 3. AI による調査の実行
プロンプトを送信すると、Notion AI が複数の情報源に対して段階的な調査を開始します。社内ドキュメントや連携アプリのデータを読み込み、さらに Web からの情報収集も行い、関連性の高い事実や数字を集めます。調査中は画面上に進捗インジケーターや「分析しています…」などの表示が出るので、結果が出るまで待ちましょう(目安時間は数分程度)。質問内容の難易度によっては3~6分ほどかかるケースもあります。
リサーチモードを実行しているようす(Web 検索オンの状態)
STEP 4. レポート結果の確認
調査が完了すると、画面上に AI が生成したレポートが表示されます。レポートには、質問に対する包括的な回答が章立てや箇条書きでまとめられ、必要に応じて各所に参考文献や出典リンクが付きます。情報源が明示されているので、後で自分でファクトチェックをしたり、さらに深掘りしたりする際にも便利です。内容は簡潔ながら網羅的で、多角的な視点から整理されています。
レポート結果を確認
STEP 5. レポートの保存・共有
表示されたレポートは、そのまま Notion ページとして保存することが可能です。画面上の「保存」ボタンを押すと、指定したワークスペース内のページにレポートが追加されます。調査結果をナレッジベースとして蓄積しておけば、後からチームメンバーと共有したり参照したりしやすくなります。
Notion ページとして保存
以上が基本的な使い方です。簡単な操作で高度なリサーチが完結し、専門知識が無くても AI が関連資料を集め構造化してくれるため、「調べるのに時間がかかって手が付けられない…」といった課題を解消できます。
2-4. Notion リサーチモードの具体的な活用事例
例1: 市場分析・競合調査
新規事業の企画段階で市場動向や競合他社の情報を集める際に、リサーチモードは非常に有効です。例えば「主要競合A社とB社は我が社と比べてどのような製品戦略・価格設定をしているか?最新の市場トレンドや直近半年の業績も踏まえて分析して」と依頼すれば、社内メモや営業資料に加えて業界レポートやニュースサイトまで調査し、包括的な競合分析レポートを作成してくれます。経営戦略会議の準備が格段に楽になるでしょう。
例2: ユーザーリサーチ
プロダクト開発においてユーザーのニーズや業界のベストプラクティスを調べるのにも活用できます。例えばデザイナーが「モバイルアプリのナビゲーションのユーザビリティに関する最近の動向と当社アプリの評価は?改善すべき点は?」と質問すれば、社内のユーザーフィードバックや公開フォーラムの記事、専門ブログなどから情報を集約し、ユーザー体験に関する洞察レポートを提示してくれます。デザイン改善のヒントを短時間で得られるわけです。
例3: 製品戦略立案
既存製品の改良や新機能検討の際にも、リサーチモードが役立ちます。例えばプロダクトマネージャーが「今四半期に寄せられた自社製品の〇〇機能に関するユーザーの声を教えて。サポートチケットやインタビュー記録、競合の動向も含めて」と依頼すれば、各種ソースからユーザーの声を分析し、競合製品との比較も交えた改善提案レポートを作成してくれます。これにより、ユーザー要望に基づいた的確な意思決定がスピーディに行えます。
以上のように、リサーチモードはより複雑で戦略的な問いに答えるための AI ツールと言えます。人間のリサーチでは見落としがちな観点も拾い上げ、俯瞰的なレポートを提示してくれるため、意思決定の質と速度を同時に高めてくれるでしょう。
4. エンタープライズサーチとリサーチモードの比較
最後に、エンタープライズサーチとリサーチモードの違いを整理しておきましょう。どちらも Notion AI の強力な検索・調査機能ですが、用途や得意分野が異なるため、目的に応じて使い分けることが大切です。
比較項目 | エンタープライズサーチ | リサーチモード |
---|---|---|
目的・特長 | 社内外の複数ツールから必要な情報を即座に検索・回答。 短い Q&A や素早い事実確認に最適。 |
AI が段階的調査を行い詳細な分析レポートを生成。 複雑なテーマの深掘りに最適。 |
検索範囲 | Notion ワークスペース+ 連携アプリ(Slack, Drive 等)内のデータ。 |
ワークスペース 連携アプリ 必要に応じて Web 情報まで網羅。 |
回答の速さ | 数秒~数十秒程度で簡潔な答えを提示。 | 数分程度かけて調査を行い、包括的なレポートを提示。 |
出力形式 | 単一の回答(段落やリスト)+出典リンク。 即座に会話形式でフィードバックを得られる。 |
構造化されたレポート(章立て・箇条書き)+出典リンク。 完成度の高い資料として保存・共有可能。 |
想定ユースケース | クイックな疑問解決 ナレッジ検索(社内 FAQ、進捗確認など日常業務全般)。 |
綿密なリサーチが必要な業務 (市場分析、競合調査、ユーザーリサーチなど専門的調査)。 |
利用シーンの例 | 「昨日の会議メモの要点は?」 「エラーコード123の解決策を教えて」等、 今すぐ知りたいことに対してすぐ答えが欲しい場合。 |
「新製品Xの市場参入戦略を立てるため関連情報を調べて」 「業界トレンドを踏まえた次年度計画の提案資料を作って」等、 調査・分析レポートが求められる場合。 |
このように両者を比較すると、エンタープライズサーチはスピード重視の横断検索ツール、一方のリサーチモードは深さ重視の分析ツールと言えます。それぞれ得意分野が異なるため、使う場面も自然と分かれてくるでしょう。
日常的な「ちょっとした調べ物」や「あの情報どこだっけ?」にはエンタープライズサーチを、戦略立案やレポート作成など、腰を据えて取り組むべきテーマにはリサーチモードを、といった具合に使い分けるのがおすすめです。
5. まとめ
今回は Notion の新機能「エンタープライズサーチ」と「リサーチモード」について、その概要から使い方、メリット、ユースケース、そして両者の違いまで詳しく解説しました。
改めて整理すると、
- エンタープライズサーチ: 日々の業務で社内外に散在する情報を一箇所から瞬時に引き出すための機能。
- リサーチモード: より高度な洞察や分析レポートを得るために、AI が多角的な調査を代行してくれる機能。
です。それぞれを上手に活用することで、情報探しや分析にかける時間を大幅に削減しつつ、意思決定の質と速度を高めることができます。
ぜひ皆さんもご自身の業務で「これはどちらの機能を使えば効率的かな?」と考えながら、これらのパワフルな AI 機能を試してみてください。もしあなたの会社やチームが大量の情報に囲まれているなら、エンタープライズサーチはその知識を最大限に活用する手助けとなるでしょう。また、企画や戦略業務でリサーチに多くの時間を費やしているなら、リサーチモードが強力なアシスタントになるはずです。
FAQ(よくある質問)
Q1. これらの機能はどの Notion プランで利用できますか?
A. エンタープライズサーチおよびリサーチモードは、Notion のビジネスプラン以上で利用可能です(2025年5月現在)。
Q2. 利用できる AI モデルは何ですか?
A. Notion AI では、GPT-4 や Claude など、複数の高性能な AI モデルを選択して利用することができます(2025年5月現在)。これにより、タスクの性質に応じて最適なモデルを活用できます。
Q3. 今後、機能はさらにアップデートされますか?
A. はい。Notion AI は継続的に進化しており、今後さらに対応する外部ツールが増えたり、検索精度や処理速度が向上したりといったアップデートが期待されます。引き続き注目していきましょう。