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【ゲスト:jMatsuzaki】Notion × Zettelkastenを使った知識管理術



新たにスタートした「Notion達人図鑑」シリーズ。

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Notion 達人図鑑とは、日頃から Notion を使い込んでいる「Notion の達人」にどのような使い方をしているのかをインタビューし、活用法を紹介するシリーズです。

今回の記事では、前回の「Notion を使ったタスク・プロジェクト管理術【jMatsuzaki】」の続きをお届けします。前編をまだ読んでいないという方はこちらをご一読ください。

jMatsuzaki株式会社 代表取締役 jMatsuzaki / 「TaskChute Cloud」開発者
jMatsuzaki株式会社 代表取締役 jMatsuzaki / 「TaskChute Cloud」開発者

システム屋から音楽家へ!6年半の会社員生活を経て26歳でブロガーとして独立。小学生から夢だった音楽家へ。のっぴきならない現実を乗り越えて、諦めきれない夢に向かう生き方を伝える30代前半の夢見るリアリスト。2018年よりドイツ・ベルリン在住。

前編では、Notion を使ってどのようにタスク管理をされているかを中心にお伺いしました。後編では、jMatsuzaki さんが知識管理として活用されている「Zettelkasten」を中心にお届けします。

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Zettelkasten とは

社会システム理論」を提唱したことで知られるドイツの社会学者Niklas Luhmann(ニクラス・ルーマン)が研究と執筆のために考案し、構築したアナログのカード型ノートシステム。「Zettel」がメモ、「Kasten」が箱という意味を表し、下記のような特徴があります。

  • 1つのアイデアを1つのメモに短く記す
  • メモがそれぞれリンクしている

従来のノート術とは異なり「知識をつなげる」ことにフォーカスした画期的なノート術として、注目されています。

「半分、Notion 」: Zettelkasten の運用方法

ーーそれでは、後半戦もよろしくお願いします。早速ですが、jMatsuzaki さんは、知識管理もNotion上でされていると伺いました。どのような方法で行っているのでしょうか。

円谷さんのYouTube動画(Notion × Zettelkasten で第二の脳を構築する【2023年版】)にもありましたが、僕も Zettelkasten が大好きでして。

知識管理系は Zettelkasten 方式で、半分 Notion を使って運用しています。

Knowledgeノートの画面
Knowledgeノートの画面

ーー Zettelkasten の運用方法のフローについて、教えてもらえますか?

Notion 上に「 Knowledges 」という、知識管理用のノートを作っています。ダッシュボードに置いていて、何か必要なことや思いついたりしたことがあったら、すぐ登録できる仕組みです。

左側に「フリーティングノート」、右側に「リレーションノート」という2つのデータベースを入れています。

左側が思いついたものの下書き、ドラフトのイメージ。思いついたことを何でもとりあえず登録しておく場所です。

右側が読書メモ的なノート。本だけじゃなく、動画も含めた、何らかのインプットに対して「知識として使えるな」「残しておきたいな」と思ったら、すぐにメモを書いていくイメージです。

Fleeting Notes には一時的なメモを保存する
Fleeting Notes には一時的なメモを保存する

まずは「フリーティングノート」に一次メモ的に、とりあえず保存します。インボックスのようなイメージでしょうか。これを後ほど清書していきます。

そこで、冒頭お話した「半分 Notion を使っている」ということになるのですが。

実は清書するときはNotionではなく「 vim 」を使っています。vim の中でも「 Neovim 」というものを使って執筆しています。

非常にマニアックな話ですけど、「 Neovim 」は vim の中でも結構モダンなタイプが。これから使う人には結構おすすめです。

Permanent notes / Structure notes には Neovim を使用

Neovim を使った Structure notes のスクリーンショット
Neovim を使った Structure notes のスクリーンショット

ーー Neovim を使って管理しているということですが。Notionとどのように連携していらっしゃるのでしょうか。

下書きは Notionです。メモなど、必要事項を書き終わったらステータスをクローズドにすると、非表示になります。

ステータスをCLOSEDにして非表示にする
ステータスをCLOSEDにして非表示にする

その後、vim で清書していきます。こちらが実際に清書し終わったものです。

清書後の Neovim 画面
清書後の Neovim 画面

Neovim はただのテキストエディタ。ローカルに置いてあるテキストファイルを編集するためのソフトウェアなので、この清書したものも、実はただのテキストファイルなんですよね。

ノートの一連のテキストファイル
ノートの一連のテキストファイル

これは僕が書いた一連の note のテキストファイル。

「1ファイル1ノート」でマークダウンによるファイル単位の管理です。ローカルのファイルにして、Dropbox とか GitHub とかで、バックアップしています。

ーー こちらの画面は、Zettelkasten 用語で言うと、ストラクチャーノートでしょうか?

はい。リンク集のようなまとめページです。

リンクを貼ってるノートが「パーマネントノート」と言われるものです。これは、実際に知識をアウトプットした文章です。

左側「ストラクチャーノート」、右側が「パーマネントノート」。

この2段階で自分の知識を表現していく。

これが僕のZettelkastenということになりますね。

左側がStructurenotes、右側がPermanent notes
左側がStructurenotes、右側がPermanent notes

ーーこのパーマネントノートは下の方に、参照リンクのようなものがあるのですが、こちらは何のリンクでしょうか。

これは「ここから引用しました」とわかりやすくするための参考文献リストです。

参考文献リスト
参考文献リスト

例えば『TAKE NOTES!』に記載されているリンクは、Notionのページリンクになってるんですよね。

これを開くと、本を読んでメモした内容が全部ここに入っている。

パーマネントノートに、自分で考えたことをノートの引用元として読書メモのリンクを貼っておくと「この本のこういうところに感銘を受けて引用したんだな」みたいなことが思い出せるんです。

リテレーチャーノートになっている
リテレーチャーノートになっている

ーー素晴らしいですね。まさに知識のネットワークが体系化されています。

Zettelkasten がすごく秀逸だなと思うところの1つが、リテレーチャーノート という読書ノート。

読書ノートは、自分が考えたことを自分の言葉で書いて、ページ数を明記するという、割とと一般的なもの。こうすることで、1冊の本、例えば『TAKE NOTES!』という本を読んで、自分が考えたことがこの読書ノートにまとまっていくんです。

さらに、個別のトピックについて「パーマネントノート」という自分の考えたものがまとまっていくんです。

清書するのは「本当に自分が考えたこと」をまとめていくもので。まとめる段階で、引用したい箇所があったら、ダイレクトに本を引用するんじゃなく、読書メモにリンクを貼っておくんです。

そうすると「この本のこれは実際に何て言ったんだっけな」と探すときに思い出しやすくなります。

「こういうことを言ってたんだな、ここに感銘を受けたんだったな」と。

なので、この2段構えはすごく気に入っています。

読書ノートのメモがすべて記載されている
読書ノートのメモがすべて記載されている

「1ハイライト1見出し」の読書メモ術

ーー読書メモの取り方も、かなり工夫されているとお聞きしました。詳しく伺ってもよいでしょうか。

読書ノートも Notion でとっている
読書ノートも Notion でとっている

ありがとうございます。

読書メモ、Zettelkasten で本当に納得いくものがやっとできたので、聞いてもらえて、かなり嬉しいです。

実は、どうやって読書メモを残すといいのかを何年も決めきれずにいて。3年くらい前にZettelkasten でやっと固まったみたいな感じです。

ーーそうだったんですね。読書メモのフローについて教えてもらえますか?

まず「Literature Notes」に読書メモのリストが入ってきます。この中に本だけでなく、動画などもあるのでメディアごとに分類します。

例えば、まだ読んでないけれど、これが読みたいなと思う本があったら、その時点でデータベースに登録。まだ読書してもいないのですが、これがそのまま「読みたい本リスト」になります。

「読みたい」と思った時点でデータベースに登録
「読みたい」と思った時点でデータベースに登録

なので「今読んでる本を読み終わったら、これ読むかな」という感じで、オープンのステータスから選べる仕組みになっています。

以前は、読みたい本リストを別のクラウドサービスで管理してたんですが、Notionで「Literature Notes」に統合できたのは、とても気持ちよかったですね。

実際に読み始めたら、ステータスは「InProgress」になる
実際に読み始めたら、ステータスは「InProgress」になる

実際に読み始めたら、ステータスは「InProgress」へ。

読み始めの時点で、出版社、出版日などのデータはすでに入っています。他の項目は、読み進めながら、一つずつ自分の言葉でメモを加えていきます。

読み始めた時点で出版社や作者が入った状態になっている
読み始めた時点で出版社や作者が入った状態になっている

メモは、読んでいる途中で「いいな」と思った箇所に、Kindle 上でハイライトをつけています。面倒くさくならいうちに、なるべくその場で Notion を開いて、ハイライトした箇所について記しておきます。

「こういうところがすごい」「ここに感銘を受けた」など、コピペを一切せずに、自分の言葉で書きます。

Kindle 本にハイライトをしたものを Notion に貼付
Kindle 本にハイライトをしたものを Notion に貼付

これが多分一番面倒なんですよね。

でも、これが絶対あとで自分を助けてくれるものになるので。読んでるときは、早く続きを読みたくなりますが、長期的に考えると絶対効率的なので、ここは頑張って書きます。

後から見た時に迷子にならないように、ページ数も書いておくのがポイントです。

1ハイライト1見出し、そして自分の気づきでワンセット
1ハイライト1見出し、そして自分の気づきでワンセット

これだけやっておくと「この Notion を見れば全部わかる」という安心感があります。

あとは「ここは読んでもどうしてもよくわからなかったな……」というときに、時間をおいて振り返りたくなるときがありますよね。そんな時のためにも、ページ数を残しておくのは大事です。

原本のページを開いたらハイライトがあるので「この範囲内のこと言ってるんだな」と、すぐに見つけられます。その前後を読めば、大体内容が思い出せるという仕組みです。

あとは、この作業を読み終わるまでひたすら続けます。Notion は目次も作れるので「1ハイライト1見出し」として作っておくと便利です。

オリジナルの目次ができる
オリジナルの目次ができる

これが自分にとってのこの本の一番のサマリーになるので、見出しを見るだけでも、1冊思い出しやすくなるという点もあります。

ーーこれ、すごく便利ですね。自分の言葉で気づきを書いたものを見出しにすればいいということですね。jMatsuzaki さんの Notion には引用は一切出てこないということでしょうか。

1冊の中で1回あるかどうか、そういうレベルですね。引用は「比喩をそのまま使いたいな」というときくらいでしょうか。

そのときには「引用タグ」を使います。ここは関数プロパティを使って、引用タグをそのまま生成しています。

「ここを引用したいなと」思ったら、この関数をコピーして本文に記しています。

Notion アップデートで関数プロパティが値コピーできるようになった

マークダウンで毎回書くのは大変ですが、Notion は関数プロパティがあるのが強い、魅力のひとつですよね。

Zettelkasten のタグは”必要最小限”がマイルール

ーー最後にどうしても聞きたかったことが1つ。Zettelkasten は「カードにキーワードをつけて結合させていく」という考え方があるのですが。どうやって運用されていますか?

僕もタグ付けルール(キーワードをつけて結合する)ですごく悩んだんですよね。

実は、これについて、一時期めちゃくちゃ調べたんです。この Zettelkasten を考案した Niklas Luhmann(ニクラス・ルーマン)は、亡くなっているんですが、彼が書いたノートは Web で閲覧できるんです。

ニクラス・ルーマンの実際のノートを Web で閲覧できる
ニクラス・ルーマンの実際のノートを Web で閲覧できる

ドイツ語のページに行くと、デジタル化されて写真など見れるんです。

「これ、どうやってたんだ?」って片っ端から見ていきました。

人によって好みあるとは思うんですが。

僕は総合的に考えた結果「タグはストラクチャーの後のみ」。

あるいは、ストラクチャーごとに1つか2つがマックス、ということにしました。

例えば「 Zettelkasten 」で検索したときに、リストに出てくるのは多くても2つであってほしいなと。

キーワードはとことん絞ってなるべく1つか2つ。しかも、ストラクチャーノートにしかつけない。これが今のところ、僕の中での最適解です。

ーータグは、必要最小限での運用ですね。

タグをつけるのは結構手間のかかる作業なんですよね。その上、関連するタグを全部つけていくと、結局、全文検索と変わらなくなってくる……

デジタル Zettelkasten 一番の良さって、一発で全文検索できることなんです。単語を入れて検索すると、本文内全部検索して、1秒以内にすべて出てくるので。

「 Zettelkasten 」で検索すると本文内すべて検索できる
「 Zettelkasten 」で検索すると本文内すべて検索できる

そういう意味で、タグキーワードの運用は、関連するノートを全て出したいわけではなく、このキーワードで関連してるノートを絞り込みたい。

「これに関するノートは、これ」という絞り込みをしたいときに使いたいので。

お気に入りのテキストエディタで書きたい

ーーちなみに素朴な疑問なのですが。Notion ではなくなぜマークダウンなんでしょうか?

いくつか理由あるんすけど。僕は結構な vim ユーザーなので「執筆作業は vim を使いたい」というのが1番の理由です。

vim はキーボードだけで使えるという発想として作られたテキストエディタなので、キーボードショートカットが便利なんですよね。

例えば、5行下行くとか、この行の中の点まで移動するとか、キーボードだけで一切マウス使わず作業ができる。マクロも組めるし、文章を執筆するのがすごく効率的になるんですよ。

なので、vim 以外であまり書きたくないっていうのがあって。

パーマネントノートを書くときは結構しっかり執筆するので。そういうときは vim じゃないと面倒に感じてしまうのがあるんですよね。

端的に言えば「お気に入りのテキストエディタで書きたい」という、これが一番の動機です。

それ以外の動機でいうと「絶対にデータロストしたくない」ということでしょうか。

第2の脳と言われるくらいなんで、データロストを避けるためにも、なるべく他社サービスの依存度は下げようという気持ちもありまして。

なるべく外部サービスの依存度を下げるという意味でもvimを使っている
なるべく外部サービスの依存度を下げるという意味でもvimを使っている

いろいろ考えると、やはりローカルのフラットファイルで管理するのが一番安全かなという結論に達しました。

とはいえ、持続可能性を疑いだしたらクラウドサービスを使うこと自体がかなり厳しくなりますもんね。

ーーそうですね。Notion に限らず、その辺りのリスクをどのくらいで見ていくかは、それぞれの判断になりますよね。

ドイツに Zettelkasten のすごい有名なブロガーがいるんですが。彼らは10年以上 Zettelkasten をやっている人たちなんですが。

https://zettelkasten.de/
https://zettelkasten.de/

クラウドサービスなどもまだ信頼性が低かったっていう時期からずっとやってる人たちなんです。彼ら2人が、ひたすらプレーンテキスト推しなんですよね。

僕は2人に感化されて「プレーンテキストが逆にかっこいいな」というところもあって。

ーーそうだったんですね。だからマークダウンなんですね、納得です。

「 Zettelkasten 」は、近年注目を浴びるようになってはきたのですが、日本ではまだまだなので、ぜひ2人で広めていければいいなと思っています。

ーーはい、ぜひ広めていきましょう。

jMatsuzakiさん、今回は貴重なお話をありがとうございました。

現在、Voicyの発信を中心にされているjMatsuzakiさん。

今後はYouTubeにも力を入れていきたいとのこと。タスク管理はもちろん、Notion や Zettelkastenについてしっかり解説していきたいとおっしゃっていました。

気になる方は、jMatsuzaki さんの YouTube もチェックしてみてください。

◽ Twitter アカウント

https://twitter.com/jmatsuzaki

◽ YouTube

/ @jmatsuzaki-inc

※ 今回の内容は、こちらの動画でもご覧いただけます。


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Tsuburaya

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